万能鑑定士Qの事件簿VIII / 松岡圭祐

万能鑑定士Qの事件簿VIII / 松岡圭祐/角川文庫
万能鑑定士Qの事件簿VIII (角川文庫)

「これが最後のチャンス。わたしたちはまだ負けていない」

渇水で悩む、莉子の故郷波照間島
渇水対策募金をしている莉子にある日議会から、解決の目処が立ったため募金を終了すると連絡をうけた。
募金額は目標額にも達していないし、渇水を解決する新技術も発表されていない状況に、
危機感を覚えた莉子は急遽帰郷する。


台湾に渡った初日では知識不足のためか中々いつも調子を出せない莉子でしたけれども
一晩で知識を詰め込んだあとはいつもの莉子でした。


それでもタイムリミットが迫る中で、なかなか犯人の手がかりが掴めない中で
ほんの僅かな手がかりを元に最後まで諦めない姿勢は相変わらず格好良かった。


小笠原の出番は減ってたけど、以前よりも記者らしい仕事をしててビックリ。
少しは成長したっぽいけど、まだまだ莉子を支えられるような展開が訪れる気が微塵もしない。
彼が報われる日は来るんだろうか。

万能鑑定士Qの事件簿VII / 松岡圭祐

万能鑑定士Qの事件簿VII / 松岡圭祐 / 角川文庫
万能鑑定士Qの事件簿VII (角川文庫)

「あなたに対して必要なことだけ進言する。サポートを怠るのは秘書として無能の証し。ここに来る前、あなたに誓わされたことです」


 抜群の安定感のある面白さを誇る万能鑑定士シリーズ7作目。
今回も面白かったです。


 小説の盗作疑惑事件を解決したことから、脱税事件の潜入調査をする展開になるのは莉子じゃないと出来ない芸当ですね。
潜入してからわずか4ヶ月でトップからの信頼を勝ち取る能力は流石です。


今回は話以上に衝撃を受けたのが小笠原のイラストです。
まさか広告として挟まってるとは思わなかった。
作中でだんだんイケメンっぷりが協調されて来てましたけど、イラストを見て納得です。
イケメンすぎる。
これは第一秘書の園部遥奈さんも一目惚れしますね。
なよっとしてるし言われてみると確かに草食男子っぽい。


今回は莉子が嫉妬してるような描写も見られたのが良かった。
少しは小笠原ことを意識し始めてるんですかね。
しかし今回はまったく活躍しなかった…。
このままだとこれ以上の進展しないぞ、頑張れ小笠原。


作中にKAGEROUの出版をディスっていたような記述があったのが面白かったです。
相変わらずタイムリーなネタを仕込みますね。

万能鑑定士Qの事件簿VI / 松岡圭祐

万能鑑定士Qの事件簿VI / 松岡圭祐 / 角川文庫
万能鑑定士Qの事件簿VI (角川文庫)

「いちどでもあなたの嘘を見破る人間がいて、世間が善とみなすことの価値を証明できたらあなたの人生は変わるかも」

ありとあらゆるものを瞬時に鑑定する万能鑑定士、凛田莉子の万能鑑定士シリーズ6冊目です。
今回の相手は万能贋作士、雨森華蓮が作成する贋作を使った詐欺を見破る話となっています。
相変わらずテンポよく話が進んで面白かったです。
謎解きも今回が一番スッキリしてると感じました。

華蓮の意図が読めず苦戦してる莉子はなかなか新鮮でした。
日常からの何気ないニュースからヒントを掴んでからのスピーディな解決は流石です。


しかし相変わらず小笠原は莉子の役に立っているんだか立っていないんだかわからない。
どんどんイケメン設定になってるのは気のせいだろうか。
頼りないのは相変わらずだけど、莉子からは何故か一定の信頼はあって↓な台詞も言われてるし。

「ありがとう……。小笠原さんって、頼りになる人。わたしはそう思ってる」

莉子の性格から言って社交辞令ではないと思うけど、うーむ。
小笠原が莉子のハートを掴む日は来るのだろうか。


元刑事の方が「涼宮ハルヒの驚愕」はいつ発売されるのか?って小笠原に聞くシーンには笑いました。
作者も気になってるのかな。
作中では文庫編集部の方から何もきこえてきないと言われてましたけど、実際いつ発売されるか気になりますね。

わたしを離さないで / カズオ・イシグロ

わたしを離さないで / カズオ・イシグロ / ハヤカワepi文庫
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

「ほかに言う人がいないのなら、あえてわたしが言いましょう。あなた方は教わっているようで、実は教わっていません。それが問題です。形ばかり教わっていても、誰一人、ほんとうに理解しているとは思えません。そういう現状をよしとしておられる方々も一部にいるようですが、わたしはいやです。あなた方には見苦しい人生を送ってほしくありません。そのためにも、正しく知っておいてほしい。いいですか、…

提供者と呼ばれる人々の世話をしている介護人キャシーが子供時代の過去を振り返る形で物語が進行していきます。
いろいろと考えさせられる小説でした。

物語の核心に触れずに書くのは難しいので、ここから先はネタバレ有りの感想となります。

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神様のカルテ 2 / 夏川草介

神様のカルテ 2 / 夏川草介 / 小学館
神様のカルテ (2)

「イチさんが選んだ道であれば、私もついて行きます。でも進むことに疲れたときは、きっと足を止めて一休みしてください。そしていつでもすぐ後ろには、私がいるということを忘れないでください。御嶽様の見守る前での約束です」

信州の「24時間、365日対応」の本庄病院で働く内科医である栗原一止は、写真家の妻である榛名や、頼りになる同僚、下宿先「御嶽荘」の愉快な住人たちに力をもらい、日々を乗り切っている。
神様のカルテの2作目です。

前作も大変素晴らしい物語でしたけど、その前作を凌ぐ素晴らしい話でした。
本でこれほどまでに涙が出た作品は初めてです。
個人的に今年度ベスト1です。


本作は医師だって人間であるという、普段忘れているであろう当たり前のことを改めて実感させてくれるものでした。