わたしを離さないで / カズオ・イシグロ

わたしを離さないで / カズオ・イシグロ / ハヤカワepi文庫
わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

「ほかに言う人がいないのなら、あえてわたしが言いましょう。あなた方は教わっているようで、実は教わっていません。それが問題です。形ばかり教わっていても、誰一人、ほんとうに理解しているとは思えません。そういう現状をよしとしておられる方々も一部にいるようですが、わたしはいやです。あなた方には見苦しい人生を送ってほしくありません。そのためにも、正しく知っておいてほしい。いいですか、…

提供者と呼ばれる人々の世話をしている介護人キャシーが子供時代の過去を振り返る形で物語が進行していきます。
いろいろと考えさせられる小説でした。

物語の核心に触れずに書くのは難しいので、ここから先はネタバレ有りの感想となります。


知らないことの方が知ることよりも結果として良いというのは往々にあることです。
私たちは教わっているようで教わっていない、これは自分達にも置きかえられるのではないでしょうか?
私たち自身の学生生活を振り返ると、確かに知識としての教育は受けさせられますが
本当に大事なことというのは、ボカされてたいたような気がします。
彼等達は自分達の運命を知っても暴動起こしたり行動起こしたりせずに、運命を受け入れて行きます。
知ったからといってどうしようも無い現実ではありました。
彼等にとってはむしろ知らなかったからこそ、多くの思い出を作ることの出来たのかも知れません。