悲痛伝 / 西尾維新

悲痛伝 (講談社ノベルス)

「でもまあ、高度に発達した科学が魔法と区別がつかないように、魔法は高度に発達した科学と区別がつかないもんだしね」

突如として三百万人もの人が消失した四国。
四国で今なにが起きているのか?
英雄、空々空が調査に向かう。

伝説シリーズ2巻目、『悲痛伝』です。

登場人物達があっさり死んでいくところが、戯言シリーズを思いだす。
慎重に行動してる割に、ここまで連続してピンチに陥るってなかなかいない。
どんな絶望的な状況に落ちようと、決して生きることを諦めないその執着さが読んでて面白い。

誤解を解く能力の低さが彼の欠点と作中で明記されてたけど、ぶっちゃけのあの状況じゃ、誰でも誤解は解けないと思う。
特に「ストローク」と遭遇したときの状況は弁解の余地がまったくない。
「一難去ってまた一難」という言葉は、まさに彼のためにあるような感じでした。

しかしまあ、これだけのページ数の割に話が遅々として進まないとか、完全に予想外でした。
最後ページにもあるように、あれだけの危機があったのにスタート地点から動いてないってすごい。

「悲惨伝」、「悲報伝」、「悲業伝」とシリーズ化が決定しましたが、今回の「四国大戦編」はどのあたりで完結するんだろう。
「悲惨な少年と飛散する少女達」という、またとんでもないキャッチフレーズのつけられた「悲惨伝」が今から楽しみです。