一般文芸

万能鑑定士Qの短篇集 2 / 松岡圭祐

「また。純粋すぎるよ。世のなか善意を理解できる人ばかりじゃないんだよ。だからこそ……」 「何?」 「パートナーが必要だろ。僕はそう思ってるけど」 万能鑑定士Qの短篇集、2冊目。今回は連作短編ではなく、普通の短篇集。 印象に残った話は、「雨森恋華の…

万能鑑定士Qの短篇集 1 / 松岡圭祐

「いったとおりだろ。彼は有望な記者さ。きみの心もお見通しだったんだよ」 万能鑑定士Qの短篇集です。連作短編形式の外伝。 とある人気質屋に一ヶ月行くことになった莉子の話。1話目に小笠原が出てこなかったので、恋愛関係は進展なしかとおもいきや、2話目…

ふたりの距離の概算 / 米澤穂信

「……触れたくない話題があって、それを連想させる物が目の前にあったとき、どうするかは難しいな」 角川文庫の新刊から古典部シリーズ最新刊『ふたりの距離の概算』です。2年生になって新入生を迎える立場になった古典部のメンバー。 古典部に新入生の大日向…

特等添乗員αの難事件 II / 松岡圭祐

「わたしも心配してない。絢奈がしくじるはずがないし」 万能鑑定士の姉妹シリーズと始まった本シリーズの2冊目。 角川文庫の新刊から『特等添乗員αの難事件』の2巻です。2巻も面白かった。 万能鑑定士シリーズよりも好きかも。水平思考の『ラテラル・シンキ…

万能鑑定士Qの推理劇II / 松岡圭祐

「大人って案外、頼りになるものよ。」 万能鑑定士Qの推理劇の2巻です。 映画化決定おめでとうございます。今回は古書に隠された謎を追う話。最初は馬鹿にされても、その知性と情熱で信頼を勝ち得ていく展開はいつみても気持ちがいい。クライアントへの思い…

遠まわりする雛 / 米澤穂信

「それなら、千反田。何か状況を一つ出してみろ。そう簡単に理屈をくっつけるなんてできないと証明してやる」 『氷菓』アニメ化記念、再読四冊目。 古典部シリーズの4作目『遠まわりする雛』です。表題作を含む、7編からなる短篇集。 文化祭前の話が3編、以…

クドリャフカの順番 / 米澤穂信

「自分に自信があるときは、期待なんて言葉を出しちゃいけない」 『氷菓』アニメ化記念、再読三冊目。 古典部シリーズの3作目『クドリャフカの順番』です。刷りすぎてしまった「氷菓」を売り切るために、古典部のメンバーが奮闘する話。 再読して改めて思い…

愚者のエンドロール / 米澤穂信

「誰でも自分を自覚するべきだ。でないと。……見ている側が馬鹿馬鹿しい」 『氷菓』アニメ化記念、再読第二弾。 古典部シリーズの2作目『愚者のエンドロール』です。脚本家のメンタルダウンにより作成が一時中断されたミステリー映画の結末を古典部が推理する…

氷菓 / 米澤穂信

「わたし、気になります」 米澤穂信のデビュー作、古典部シリーズの第1巻『氷菓』です。アニメ化ということで、4年ぶりに再読。 名作は何度読んでも面白い。大分忘れているところもあったためか、いろいろと新鮮に感じた。 特に奉太郎の推理力の高さはちょっ…

三匹のおっさん ふたたび / 有川浩

「でも俺たちもう子供じゃないけどまだ大人じゃないんだ」 有川さんの最新作『三匹のおっさん ふたたび』です。あのカッコイイおっさんたちが再び舞い戻ってきた。 どの話も身近にありそうな話ばかりで、前回よりもさらにモラルを問う内容となっていた。 す…

PK / 伊坂幸太郎

「簡単だよ。何をしても、大きな影響がないんだったら」 「だったら?」 「子供たちに自慢できるほうを選べばいいんだから」 伊坂さんの新作『PK』です。表題作の『PK』から始まり、『超人』、『密使』と中編が3編収録されています。 各物語の中で語られる、…

特等添乗員αの難事件I / 松岡圭祐

「根拠を持たずとも自由な発想で正答に肉薄する。あなたはその資質に恵まれているんですよ。ラテラル・シンキングの才能に」 万能鑑定士Qシリーズの姉妹シリーズが開始。 ロジカル・シンキングの対極の思考方法『ラテラル・シンキング』の使い手、浅倉絢奈…

万能鑑定士Qの推理劇I / 松岡圭祐

「鑑定は過去の価値を問いません」 「いまどうあるかです」 タイトルが新しくなっても相変わらずの面白さ。 序盤に莉子がどのようにして賢くなったかダイジェストで振り返るシーンが挟んであるため、 前シリーズを読んだことがない人でも楽しめると思います…

Another / 綾辻行人

「ものごとには知るタイミング、っていうのがあるの。いったんそれを逃したら、知らないままでいたほうがいいこともあるんじゃないかな。少なくとも、しかるべき次のタイミングが来るまではね」 綾辻行人の長編本格ホラーとありますが、個人的にはミステリー…

ヒア・カムズ・ザ・サン / 有川浩

「死者の思いは遺された者が決める、と僕の敬愛する作家が言っていました。死者を荒ぶる者にするのも安らげるものにするのも生者の解釈次第だと」 『真也は30歳。出版社で編集の仕事をしている。 彼は幼い頃から、品物や場所に残された、人間の記憶が見えた…

万能鑑定士Qの事件簿XII / 松岡 圭祐

「企業に属するすべての人が悪いわけじゃないでしょう。むしろ大多数の人たちは誠意を持って職務に従事しているはずです。集団社会では誰かが恵まれない立場に置かれます。補習クラスで赤点をとったぐらいで見捨てられたら……。わたしはいまここにはいなかっ…

確率捜査官 御子柴岳人 密室のゲーム / 神永学

「確率や統計において、100パーセントは存在しない」 「絶対ではない……」 「そういうことだ」 昨今問題になっている、警察の取り調べの問題。 取り調べの可視化や正確性を求める声が高まってきた問題に対応するために新設された。 そこへ異動してきた新妻…

万能鑑定士Qの事件簿 XI / 松岡圭祐

「人と異なる思考法を身につけたからといって、世間を欺くのに用いるべきではありません。まして私腹を肥やすのは言語道断です。たとえ宗教の衣を被っても、許されることじゃないはずです」 発表されるまで誰もが知らなかったはずの内容が書かれている音隠寺…

万能鑑定士Qの事件簿X / 松岡圭祐

万能鑑定士Qの事件簿X / 松岡圭祐 / 角川文庫 「わたしがいまあるのは、瀬戸内店長のおかげです」 面白くて知恵がつく人が死なないミステリー 万能鑑定士シリーズ10巻目。 今回は莉子が初めて事件を解決した話で、時系列的には万能鑑定士として独立した直後…

万能鑑定士Qの事件簿IX / 松岡圭祐

万能鑑定士Qの事件簿IX / 松岡圭祐 / 角川文庫 「わたし個人的な問題なんだから、構わないで」 「きみひとりじゃなくて、ほかにも大勢の人が困り果てる事態なるといったら? 助けなくてもいいの? さあ、旅の支度をして」 「やだってば!」 「わたしにはもう…

県庁おもてなし課 / 有川浩

県庁おもてなし課 / 有川浩 / 角川書店 「なあ、掛水」 「小説の主人公、お前の名前にしてもいい?」 高知県の県庁に新設された「おもてなし課」。 観光立県を目指して奮闘する公務員達とそれをサポートする観光特使のお話。 本当有川浩の描く物語に外れは無…

万能鑑定士Qの事件簿VIII / 松岡圭祐

万能鑑定士Qの事件簿VIII / 松岡圭祐/角川文庫 「これが最後のチャンス。わたしたちはまだ負けていない」 渇水で悩む、莉子の故郷波照間島。 渇水対策募金をしている莉子にある日議会から、解決の目処が立ったため募金を終了すると連絡をうけた。 募金額は…

万能鑑定士Qの事件簿VII / 松岡圭祐

万能鑑定士Qの事件簿VII / 松岡圭祐 / 角川文庫 「あなたに対して必要なことだけ進言する。サポートを怠るのは秘書として無能の証し。ここに来る前、あなたに誓わされたことです」 抜群の安定感のある面白さを誇る万能鑑定士シリーズ7作目。 今回も面白かっ…

万能鑑定士Qの事件簿VI / 松岡圭祐

万能鑑定士Qの事件簿VI / 松岡圭祐 / 角川文庫 「いちどでもあなたの嘘を見破る人間がいて、世間が善とみなすことの価値を証明できたらあなたの人生は変わるかも」 ありとあらゆるものを瞬時に鑑定する万能鑑定士、凛田莉子の万能鑑定士シリーズ6冊目です。 …

わたしを離さないで / カズオ・イシグロ

わたしを離さないで / カズオ・イシグロ / ハヤカワepi文庫 「ほかに言う人がいないのなら、あえてわたしが言いましょう。あなた方は教わっているようで、実は教わっていません。それが問題です。形ばかり教わっていても、誰一人、ほんとうに理解していると…

神様のカルテ 2 / 夏川草介

神様のカルテ 2 / 夏川草介 / 小学館 「イチさんが選んだ道であれば、私もついて行きます。でも進むことに疲れたときは、きっと足を止めて一休みしてください。そしていつでもすぐ後ろには、私がいるということを忘れないでください。御嶽様の見守る前での約…