飛べない蝶と空の鯱 / 手島史詞

飛べない蝶と空の鯱 〜たゆたう島の郵便箱〜 (ガガガ文庫)

「俺の配達はまだ終わっていない。お前を雲界の底まで届ける。そうだろ?」

空に浮かぶ島々で人々が生活する世界で、大切な記憶や思い出を封じた「封書」を命をかけて届ける人たちがいる。
人は彼等を「渡り鳥」と呼んだ。

「渡り鳥」のくせに風が読めない少年ウィルと、あることをきっかけに高所恐怖症になった少女ジェシカ。
お互い欠点を補いながら、今日も二人は空の最果てを目指し手紙を配達する。

ガガガ文庫5月の新刊『飛べない蝶と空の鯱』です。

これはいい飛行ファンタジー
世界観やストーリーがとても私好みで楽しめました。

口を開けば、ウィルのことを攻めるジェシカでしたが、
ひとりきりになるとウィルのことが恋しくなってしまう、その姿のなんと可愛いこと。
主人公とヒロインの関係がとてもツボにハマった。

お互いに一人では空を自由に駆け巡れない彼等だが、二人一緒なら霧妖にだって負けはしない。
霧妖との飛行戦は彼等の信頼関係が一番良く出てる部分でワクワクした。

中盤の飛行戦と比べるとクライマックスは盛り上がりにかけましたが、それで素敵な物語の終わり方だったと思います。
封書に込められた想いは確かに届いた。

話は綺麗に終わってるけど、続けようと思えば続けられる感じ。
空の最果てを見てみたいので続編が出ると嬉しいな。