楽聖少女 2 / 杉井光

楽聖少女2 (電撃文庫)

「ここまで言ってわからないのかい、きみに芸術家ゲーテの魂が欠片でも残っていればあり得ないんだよ、満たされるなんて!」

電撃文庫9月の新刊、『楽聖少女』の2巻です。

ユキと脇役との会話が相変わらずおもしろい。
陛下とのやりとりなんて完全に漫才。
ロシア皇帝のアレクサンドルもはっちゃけたキャラだったのに顔見せだけだったのが残念。
次あたり再登場しないかな。

一人で無双しちゃうナポレオンもハイドン先生バリの脳筋キャラかと思っていたら、思いのほか真面目で重いキャラだった。
彼の事情はユキよりも込みいっていて、今後もどう関わってくるか気になりますね。

メフィは思ってた以上に悪魔でした。
ターゲットはユキがだけじゃなかったとか、予想外すぎる展開でした。
芸術家の本質を知っている彼女からしてみれば、今回の状況はさぞ美味しかっただろう。

創るということに終わりはなく、創り終えてもまた新しい作品を産み出し続ける彼等に終わりは来ない。
逆にいえば、どこかで満足してしまえるような人を芸術家とは呼べないのだろう。
未完成な曲でもその魂の篭った演奏で感動させてしまうのは流石ベートーベン。

そういう意味でまだまだ芸術家になりきれていないユキの弱気な行動には少しイライラさせられた。
でも、決めるところで決めちゃうところはさすが主人公でした。

本来の歴史から徐々にズレて来てるのも気になりますが、一番気になるのはゲーテのユキとベートーベンのルゥのふたりの仲。
ユキはもう少し、ルゥに対する言動を気をつけないととんでもないことになりそう。
いやもうすでになり始めてますね。
ユキの無自覚っぷりは罪だと思う。

この先、ふたりがどんな物語を紡いでいくか楽しみです。