2 / 野崎まど

2 (メディアワークス文庫)

「創るのをやめるより辛いことなんて、この世には無いの」

メディアワークス文庫8月の新刊『2』です。

野崎まど先生が贈る1年ぶりの新作。
これまでの作品の集大成。

もう、すごいという月並みな感想しか出てこない。
またしても最後の最後でやられました。

一体いつからこの作品の構想を練っていたんだろうか…。

創作ということについて、描かれる本作。
プロローグからして面白かったけど、プロローグはまさにプロローグでしかなかった。
野崎先生が生んだ最高のヒロインである彼女が登場してからが本番だった。

本作はデビュー作『[映]アムリタ』から『パーフェクト・フレンド』にわたる主要キャラが勢揃い。
しかもただ登場するだけではなく、彼等の適正に合った見事な配役っぷりには、もう脱帽。
懐かしいと同時に、物語に上手く絡ませる展開は流石でした。

最初から最後まで面白かったのですが、この作品を本当の意味で楽しむためには、
デビュー作『[映]アムリタ』から『パーフェクト・フレンド』まで全て読む必要があるのが、ちょっと難点かも。
既存作品を未読のままでも楽しめると思いますが、それでも本書を読む前に既刊作品を先に読んでおくことをオススメします。


著者はあとがきで、本書を「彼と彼女がずっとイチャイチャし続ける恋愛小説」と表していますが、まさにそのとおり。
一見ミステリーかSFと思える本作ですが、読み得終えてみると確かに本作はラブコメだった。
そして、「人の心を動かす」作品だったと思う。

一段落ついてしまった感じですが、野崎先生がこの先どんな物語を描いていくか楽しみで仕方ないです。
でも次が出る前に既刊作品を読み直すのが先かな。

『2』、面白かったです。





冒頭引用したあの台詞。
あれは最原最早、彼女の本心ではないだろうか?
きっと彼女はその生涯を終えるまで、創作をやめることが無いだろう。