ノーブルチルドレンの愛情 / 綾崎隼
「あたしは死ぬまで吐季以外の男を好きにならないわ。だから…」
「これから、あたしが何をしても赦してね」
ノーブルチルドレンシリーズついに終幕へ。
メディアワークス文庫8月の新刊『ノーブルチルドレンの愛情』です。
歩夢の罪が明かされたことをきっかに吐季の周りから人がいなくなっていく。
そして、それは絶対に自分の前からいなくならないと思い込んでいたあの人さえも…。
以下の感想はネタバレを含みます
生きる希望を見失い、親からも勘当され、ただ生きるだけの怠惰の毎日を何年も過ごしていく吐季。
結婚し幸せな日々を生きていた妹の雪蛍も不幸な事故で亡くなってしまう。
自分が怠惰に過ごしている日々を妹はもう過ごせないことを思い、ようやく彼は自分の愚かさを悟り、再起し始める。
今のダメな自分を変えたくて、どうしようもない日常から抜け出すために。
今も愛し続けている彼女、緑葉のようになるために。
そしてついには家に復帰し、後継者に返り咲く。
別れから数十年が過ぎ、ついに再会する二人。
彼女の想いは離れていた数十年さえも無かったかのように、変わらないものだった。
いや、きっと離れていたからこそ、より強い気持ちになったのかもしれない。
自分達の運命を呪わずに、自分の力で道を切り開いていった彼女。
その道のりは決して簡単なものじゃなく、辛くきついものだったと思う。
それでもここまで辿り着いた彼女のその姿はまさに変わらない物の体現であり、
その気持ちはまさに愛情と呼ぶに相応しいものだった。
途中どうなることかと思われた、彼等の長い人生もハッピーエンドで終わった良かった。
綾崎先生お疲れ様でした。
次の物語も楽しみにしています。