R&R / 静月遠火

R&R (メディアワークス文庫)

「ねえ。<前>に……私と、なにかあったの?」
「なーんにもないですよ。僕と百音さんは、いつだって初対面だから」

繰り返される5月6日。
気づいてるのは自分だけ。
どうしたら、このリピートから抜け出せるのか……。

自暴自棄になりかけた何回目かのループの中で廻谷千瀬は新海百音に出会う。
このループの中でただ一人、自分のことをまともに対応してくれる彼女に千瀬は惹かれていく……。


メディアワークス文庫7月の新刊『R&R』です。

ボーイミーツガール&タイムリープもの。
時間物が好きだと自覚してたけど、まさかここまで夢中になって読んでしまうとは思わなかった。
休憩もせずに一気に読破したのはいつ以来だろう、本当面白かった。

リピート現象を終わらすために少しずつ謎を探っていく主人公とヒロイン。
繰り返される日々の中で追加される伏線と明らかになる事実。
この手探り感がまさにパズルのピースをひとつずつ合わせていく感じで楽しい。

繰り返していくうちに百音に惹かれていく千瀬。
彼女の記憶が何度出会う前に戻ろうと、彼は何度でも同じ説明し彼女を頼る。
そして何回目かのループの中で、彼は彼女が部活の後輩のことを好きだっと知ってしまう。
繰り返す日々の中から百音の好みを把握することができるというアドバンテージはあるものの、彼女自身は千瀬と過ごした日々の記憶を持ち越せない。

物語はせつない恋模様を描きながら、徐々に伏線が回収されていく。
伏線の中には予想通りのものもあったけど、全てが予想どおりというわけでなかった。
綺麗に伏線が回収されていくさまは読んでていて気持ちいい。
前作が最後でひっくり返されたせいものあってか、最終章で登場した人物にはヒヤリとさせられました。

終わらないループに何度も心が折れかけた彼の心を救ったのは恋心。
諦めないという気持ちの原動力になれるその力は偉大だ。