ネバー×エンド×ロール 〜巡る未来の記憶〜 / 本田壱成
「あたしは、進むんだ」
「負けないように。おいていかれないように。ほんの少しの感傷だって――失わないで、済むように」
「何があっても振り返らずに――」
高い壁に囲われた街。
その壁を超えるために、飛行機を作っていた少年たちの元に一人の少女が空からやってくる。
その出会いは、偶然か必然か。
メディアワークス文庫6月の新刊『ネバー×エンド×ロール 〜巡る未来の記憶〜』です。
閉ざされた世界、時間遡行能力を持つ少女。
SFではありがちな設定でしたが、それでもラストの展開には衝撃を受けました。
物語は彼女の持つ力とは反対に過去から未来に進んでいく。
時間が進むことで明らかになる、世界の秘密。
最終章の「巡りゆく世界について」を読み終え、この物語のタイトルに込められた意味を理解したときは唸りました。
最後にもう一度、プロローグを読み直すと最初とは違った印象に。
始まりは、ただ一人の科学者の気まぐれだったかもしれない。
でもたったそれだけのことが、もしかしたら世界を救うのかもしれない。
終わらない循環の中で、いつか希望が見つかることを願わずにはいられない。
こういう話を読むと、今いる自分達の世界ももしかしたらそうなんじゃないかと考えてしまう。
宇宙の秘密が解き明かされる日はいつか来るのだろうか。