還りの会で言ってやる / 八重野統摩

還りの会で言ってやる (メディアワークス文庫)

「……あたしにどんな幻想、抱いてんの」
「そんなもん、ひとつも抱いてない。鈴城柚舞はめちゃくちゃいいやつだ。俺の幼なじみ舐めんな」

メディアワークス文庫6月の新刊『還りの会で言ってやる』です。

いじめられている幼馴染の女の子のために男の子が頑張るお話です。
恋愛感情はないと言い張っているけど、心の底ではそう思っていないのがわかってニヤニヤできた。
二ヶ月のあいだ見て見ぬふりをしてたとはいえ、最終的にはしっかりした男に成長したと思う。
自分は主人公なんかじゃないと思っているけども、彼の行いは立派に主人公。

この物語の舞台に立てなかった彼と対比がそれを物語っている。
馴染かそうでないか。ただこれだけの差がここまで大きな差になってしまうとは残酷だ。

この話ではイジメがかなりあっさり解決してしまったけど、現実ではこう簡単に解決しないだろう。
ダメ人間社会復帰支援サークル・還りの会の主催者の宇佐部の活躍は大きい。

この物語の前にハルさんを引き篭もりから更生させたみたいだけど、そっちの話も読んでみたい。
ダメなら、宇佐部とハルさんの日常を短編とか、メディアワークス文庫のHPに掲載されないかな。