ふたりの距離の概算 / 米澤穂信

ふたりの距離の概算 (角川文庫)

「……触れたくない話題があって、それを連想させる物が目の前にあったとき、どうするかは難しいな」

角川文庫の新刊から古典部シリーズ最新刊『ふたりの距離の概算』です。

2年生になって新入生を迎える立場になった古典部のメンバー。
古典部に新入生の大日向さん仮入部することになり、仲良く過ごしていたのだが、ある日突然、彼女は古典部には入らないと言い残し去ってしまう。
彼女の心変わりの理由はなんなのか…。


省エネを信条に掲げていた奉太郎でしたが、この一年で大分変化があったんだとわかる一冊でした。
なにより、マラソン大会中に推理とか驚きを隠せない。
それだけ、えるのことが奉太郎の中で大きな存在になったんだと実感。
誕生日で話題を逸らそうと頑張る姿は微笑ましかった。

作中では少ししか触れられなかったですが、ついに里志と摩耶花が付き合うことになって嬉しかった。
摩耶花おめでとう。
土日スケジュールを埋められてしまうのは今まで引っ張った分しょうがないよね。


それにしても、奉太郎の本気の推理力は凄い。
あそこまでも何もかもが見破ってしまうと、凄いを通り越して怖く感じてしまう。
最後に友人の名前まで推理していたけど、もしあれまで当たっていたら…。

大日向さんの件は残念だったけど、いつか分かり合える日がくるといいな。
ほろ苦いラストでしたが、こういうのもたまにはいいですね。