楽園島からの脱出 / 土橋真二郎

楽園島からの脱出 (電撃文庫)

「もう遅い。間違っていてもお前たちはゲームを続けるしかない」

「極限ゲームサークル」の最後のゲームとして、無人島を舞台に始められたゲーム『ブリッツ』。
参加者の中で最も脱出ゲームが得意とされる沖田は、誰よりも早く脱出を目指すべく行動を開始する。

電撃文庫5月の新刊、『楽園島からの脱出』です。
土橋さんの描く極限脱出物は良いものだ。

緊迫感がひしひしと伝わってくる描写が素晴らしい。
男女のペアが鍵になっているため、ヒロインたちと主人公の絡みが多いのもグッド。

「殺戮の館」や「生け贄のジレンマ」のように人がどんどん死んでいく展開ではないですが、閉じ込められた集団がどこまでエスカレートしていくか見物です。

まだまだゲームは始まったばかりのせいか、本格的に行動している感じが見受けられなかった沖田でしたが、重要なシーンではしっかりと行動するところは主人公らしかった。
だけど、彼の行動はあの集団の中で異質。
今回の件がどこまで周囲に影響を与えるか、考えたうえでの行動だったのだろうか…。

この先、冷静な彼が取り乱すくらいの仕掛けが登場するのか、
それとも、彼の思惑通りゲームは進んでしまうのか、続きがとても楽しみ。