ミニッツ 〜一分間の絶対時間〜 / 乙野四方字
(俺は、この能力を利用して誰よりも高みへと上り詰める)
一年生で生徒会長に当選するという野望をもつ相上櫻には、一分間だけ相手の心を読める力があった。この力を利用し、自身の評判をあげていく櫻の前に、ひとりの生徒が立ち塞がる。生徒会副会長、琴宮遙。彼女もまた、生徒会長を目指していたのであった。
第18回電撃小説大賞、選考委員奨励賞『ミニッツ』です。
ヒロインの遙と主人公の櫻の舌戦はこれぞ心理戦といった描写で、私好みで面白かった。猫をかぶりながら行う彼等の応酬は、お互い相手の本性を見抜いてるからこそだせる胡散臭さで、楽しい。
一見完璧にみえる主人公だけど、実は弱点も多く、可愛げがあって好感が持てた。茉莉に振り回される主人公の反応は実に男子高校生らしい。
ミニッツの力もしっかりとデメリットがあり、うまく物語に組み込んでいたと思う。デメリットの内容もバランスがいい。
惜しいのは終盤の展開。中盤まで良かっただけにあの展開は残念だと思わざるをえない。妹は姉よりも頭がいいような伏線を匂わせていたので、本当残念。
世界観的に今後は、他にも力を持つ人が出てきそうな気がしますが、バトルな展開ではなく騙し合いを行う展開でいって欲しいな。
総合的には面白かったので、次の巻に期待です。