PK / 伊坂幸太郎

PK

「簡単だよ。何をしても、大きな影響がないんだったら」
「だったら?」
「子供たちに自慢できるほうを選べばいいんだから」

伊坂さんの新作『PK』です。

表題作の『PK』から始まり、『超人』、『密使』と中編が3編収録されています。
各物語の中で語られる、一見どうでもいい内容が実は他の話と微妙に繋がっているという、伊坂さんらしい巧みな物語でした。密使を読みえ終えたあと、PKと超人との差を探しにページを遡ったの人はきっと多いはず。

3編の中で一番好きなのは表題作の『PK』。
物事が起きた瞬間には、些細な出来事だったはずなのに、それが実は大き流れをつくる契機だったとは、あとになって判明することはよくある話。誰もが、何気ない日常生活の中で、選択をせまられ勇気を試されていと思えば、自分の選択など大したこと無いのかもしれない。それでも、出来る限りは正しい選択をしたいものです。少なくとも、未来の自分に笑われないように。

短い物語の中に、心に残る言葉が多く綴られていて、今まで以上にメッセージ性の強い作品でした。久々の伊坂さんの物語でしたが、昔の伊坂さんらしさを取り戻したような気がして面白かった。