東雲侑子は恋愛小説をあいしはじめる / 森橋ビンゴ

東雲侑子は恋愛小説をあいしはじめる (ファミ通文庫)

「……何もかも言葉で説明すればいいってもんじゃないだろう」

東雲侑子は短編小説をあいしている』の続編、
東雲侑子は恋愛小説をあいしはじめる』です。


続編も素晴らしい純愛小説でした。


お互いに本当の気持ちを知りたいと思っているのに
普段の態度からは伺い知ることができずに悩み、次第に距離が離れていくふたり。
カップルの誰もが経験するであろう王道展開が絶妙に描かれていきます。
不器用な二人の距離感がとてもリアルでした。


新たに登場した女性キャラは、ふたりの仲をうまくかき乱していき、とてもいいアクセントになっていました。
彼女には悪いですが、ふたりにとってはいい薬だったと思います。


彼等と時を同じくして、兄と有美のカップルも雲行きが怪しくなっていくのですが、
兄がみせた解決の仕方は想像してもみないもので、
思いを伝えるのには確かに言葉だけではないんだと感心させられました。


多くを語らず、行動で自分の気持ちを伝える兄。
カッコ良かったです。


弟は弟で兄とは違った熱い解決の仕方をしてくれました。
全てを失う前に取り戻せて本当良かったです。


けれどそれは結局、相手に心を伝えるための手段で、相手の心を知るための方法で、行為そのものが目的なわけじゃない。

大切なものを思い出させてくれるいい物語でした。