万能鑑定士Qの推理劇I / 松岡圭祐

万能鑑定士Qの推理劇I (角川文庫)

「鑑定は過去の価値を問いません」
「いまどうあるかです」

タイトルが新しくなっても相変わらずの面白さ。


序盤に莉子がどのようにして賢くなったかダイジェストで振り返るシーンが挟んであるため、
前シリーズを読んだことがない人でも楽しめると思います。


コンビニの強盗事件に始まり、角川新社屋で起きた事件に宝石鑑定トーナメント。
次々と事件を解決していく様子は相変わらず。
最後にすべてがまとまっていく展開は綺麗でした。


ただ事件を解決するだけではなく、犯人を更生させてしまうところが莉子のすごいところ。
やることなすことすべて見破られてしまっては、そうならざるを得ない。


今回の恋愛部分についてですが、
女性に優しくしようとする小笠原に対して嫉妬する莉子がかわいかったです。
小笠原くん。どうみても脈があるから、もっと頑張れ。



物語の終盤には、2月から始まるまた別の新シリーズ『特等添乗員αの難事件I』の主人公が初登場。
主人公の浅倉絢奈は莉子のロジカル・シンキングとは対を成す思考法「ラテラル・シンキング」の使い手。
彼女の聡明さは本作の登場シーンだけでも窺えました。
今度の主人公は莉子がなれなかった添乗員。
彼女がこれからどんな活躍を魅せてくれるのか今から楽しみです。