豚は飛んでもただの豚? / 涼木行

豚は飛んでもただの豚? (MF文庫J)

「なるほど確かに、端から見れば豚は飛んでも豚かもしれんな。しかし今までと違うということに間違いないだろう。たとえ飛べなくとも飛ぼうとした時点でその豚はもうただの豚ではないだろうからな」

第7回MF文庫Jライトノベル新人賞<最優秀賞>『豚は飛んでもただの豚?』です。
MF文庫では珍しい正統派の青春物。
面白かったです。
シーンの尺が長すぎず短すぎずといった感じで、テンポよく読むことが出来たのも良かったです。
当初タイトルこれでいいのかと?思いましたが、最後まで読んでみたらこれで正解だと思い直しました。


この物語は見た目と裏腹な絶滅危惧種の超純情少年の間宮の初恋の物語。
ある日、間宮は3つ子の長女、綾が気になり始めたことを末っ子の瑞姫から指摘される。
そんなことはないと否定するが指摘されてから翌日、頭から綾のことが離れなくなっている自分がいた。
この気持ちをなんとかするために間宮瑞姫に相談を持ちかけるのだが…。


こういう物語って今の流行ではないけど、私は大好きです。
あの頃にしか味わえないであろう青春をしている感じがたまらないです。


本当に自分は変わることができるのか?というよくある壁に対しても、
あるひとつの考えに気付かされて、再び自分を変えていこうとする姿勢が素敵でした。


なにより協力関係の二人が一番のお似合いで、彼ら自身が気付いてないのも王道でいい。
今後は次女も加わって更に関係が複雑になりそうで、続きがとても気になります。


期待できる新人がまたひとりデビューしました。