ギフテッド / 二丸修一

ギフテッド (電撃文庫)

「制限時間は三分。持参物ならびに設置物等、道具の使用は全面的に禁止。また今後質問には一切返答いたしません」
「わかりました」
「時間は試験内容を通知後、三秒経った時点からカウントいたします。よろしいですか?」
「はい」
「ではこれより試験内容を発表します」
「ここから飛び降りてください。以上が試験内容です」

世界最大の企業『天使峰コーポレーション』。
幹部として入社できれば破格の待遇が待ち受けているが、幹部には学歴を必要としないような才能を求めていた。


幹部候補としての試験を突破した加納弥助たち候補生は閉鎖都市に集められる。
市民権が一番下のランクZとして。

「そう、権利とは無償で与えられるべきものではない。勝ち得た分だけ与えられるべきものなんだ。試練を乗り越えた分だけ権利が付与される。これが真の平等だよ」

一箇所に集められた候補生たちは今、行動を開始する。



11月の電撃文庫の新刊『ギフテッド』です。


これはとても面白かった。
タイトルから特殊能力ものなのかと思ってたのですが、そういった特殊能力は一切出てきません。
判断力、決断力、統率力、立案力、カリスマ性、度量、交渉力などの力を競い合う話。
頭脳物+サクセスストーリーといった内容で、知略物が好きな人は楽しめると思います。

「能力のない人間がリーダーにふさわしい者の心の支えになることはある。需要があれば供給もある。それは能力だけでなく、精神的なものも含まれる」

登場人物にひとり明らかにアレな人がいるんだけど、そういう人ですら一種の才能と認めてしまう懐の大きさが天使峰の凄さを裏付けてるなと納得してしまった。
リーダー意外の資質を持つ人の行動が正当に評価されるのは嬉しいですね。
現実じゃこうはいかない。


個性的な登場人物たちが、思うままに行動して勝ち取った結果と評価はまさに妥当な評価だったと思う。


今回の件でランクを上げた、主人公たちがこれがどう成り上がって行くか楽しみですね。
続編に期待です。