妄想ジョナさん。 / 西村悠

妄想ジョナさん。 (メディアワークス文庫)

「君のみたものが君の事実だ。君の思い出も、今胸にある感情も君だけのものだ。他の誰に否定できる。」

自らの妄想と現実の区別がつかない大学生『僕』は大学デビューを目論むも、とある妄想が原因で変人あつかいされるようになってしまった。
そんな僕のもとに新たに現れたピンクの着ぐるみから出てきた来は、かわいい女性だった。
彼女は僕の妄想だらけの世界を変えてやると宣言し、僕につきまとって僕の生活を変えて行った。


メディーワークス文庫9月の新刊『妄想ジョナさん。』です。
幸せを大学生活を夢見た非リア充の主人公がリア充生活を勝ち取るまでの物語なのですが、せつない恋物語に上手く仕上げていてとても面白かった。



以下の感想はネタバレを交えてます。








最後のジョナさんが消えるシーンは胸に来た。
最初から妄想だとわかりきっていた。
妄想ではなく実在してたみたいなわかりやすい救いを描くのではなく、最後まで妄想の人物として書ききったのが逆に良かった。
たとえ妄想の人物の手を借りてでも、自分の生活を変えて行ったのは紛れも無い彼自身の力だと思う。
1年経った後の彼の姿をきっとジョナさんも喜んでるはず。