灼熱の小早川さん / 田中ロミオ

灼熱の小早川さん (ガガガ文庫)

「小早川さんは正義感強いから、あのクラスに向いてないんだよね」
「でも一Bではうまくやれてる俺が、ここでは逆に浮いてたりする。そういうもんなんじゃない?」

入学三日で無難な立ち位置を手に入れた飯島直幸。
校則を守ろうとしないクラスメイトを注意したことをきっかけに、登校三日で孤高を手に入れた小早川さん。
そんな彼女がクラス代表となった結果、クラスはより絞めつけられるようになっていった。
その結果、未決定となっていたクラス副代表に飯島直幸がクラスメイトからスパイとして送り出されていった。


人類は衰退しました」で有名な田口ロミオ先生の新作『灼熱の小早川さん』です。
ガガガらしいスクールカーストもので面白かった。
今回は学級崩壊に立ち向かう男女の物語。


空気読んで上手くやってたはずなのに、副代表になった後の扱いはちょっとした恐怖。
小早川さんのやり方は確かに強引だったけど、あそこまでクラスが面々が協力的じゃなくなるのも極端だなと思い、集団意識の怖さを改めて認識した。
それでもめげずに二人で一緒にクラス代表の仕事を頑張ってする二人はかっこ良かった。
他の委員会も兼任とか、そりゃぶっ倒れるって。
あれだけ二人で行動しちゃえば、恋愛感情持っちゃうのは当然な感じなんだけど、徐々に距離を縮めようとする飯島は可愛かった。


前半は割と丁寧に物語を作ってただけに、終盤の展開が急だったのが残念。
欲を言えば、あのあと二人がどういう関係になったか読んでみたかった。


二年生編を期待したいけど、出る予定はあるのかな。
中目黒さんはもっと物語に絡んで欲しかった。


次回のロミオ先生の作品に期待です。