バベル / 中田明

バベル (電撃文庫)

「犯罪ってのはバレて初めて成立する。完全犯罪は犯罪ではない」
「そんな理屈はないでしょ。あなたの眼前にことの真相を知ってる人間がいるんですよ」

関東州のスラムと呼ばれるスピアシティ。
外国人・異民族・アウトローアナーキスト・ヤクザ・ギャング・マフィアと奇人変人だらけのこの街に重大な事件が勃発する。
政略結婚を控えたマフィアの一人娘の誘拐事件と、英国の女王に献上予定の国宝の盗難事件。
イムリミットが設けられた2つの事件は意外な形でからみ合って行く。


9月の電撃文庫の新作『バベル』です。
いわゆる群像劇で、登場人物がどいつもこいつも個性的で良かった。
特に良かったのは治安官のリズとシスター・マリアンヌと皆園寺の3人。
この3人はそれぞれ、めちゃくちゃな行動をとるから楽しかった。
でもマリアンヌはもう少し話に絡んで欲しかった。
ちょっと残念。


2つの事件が交互にテンポよく話が進んでいくのですが、ニアミスはすれけどなかなか本格的には交わらず、個々に事件を解決していく感じで、最後の最後でようやく繋がります。
迫るタイムリミットに本当にこれ解決するの?と思っていたところで、上手く帳尻を合わせてきました。
個人的にはもう少し前半に伏線があったり、他のキャラの行動が影響しあえば良かったのですが…、そこは次回作に期待したいです。