騙王 / 秋目人
騙王 / 秋目人 / メディアワークス文庫
「その玉座――兄上ではなく、この私が受け継ぎましょう、父上」
「正気か、フィッツラルド。お前が」
「お前が我が国の王となる。その意味を」
「もちろん。知っている」
王妃の不貞の子で現王と血のつながっていない第二王子が王になるまでの物語。
面白かったです。
会話による交渉がメインでしたが、次々と王子の思惑通りに事が進んで行って唸らされました。
劣勢だったはずなのにいつのまにか優勢になっていく展開は見事。
終盤は第一王子側の勢力の罠にハメられて処刑寸前までいったりと
ハラハラする展開も見受けられましたが、そこは見事に切り抜けます。
最後は父である王までも騙してしまうのは流石としかいいようがない。
「歴史は勝者によって作られる」とはこの小説に相応しい言葉だと思う。
まだまだ続けようと思えば話は続けられそうな終わり方でした。
是非とも続編を希望。
隣国の第二王子ルウェウスが成り上がる話とか書けそうな気がしますね。
立場も状況もフィッツラルドよりはかなり劣勢ですが
そこから這い上がる物語とかどうでしょう?