ノーブルチルドレンの残酷 / 綾崎隼

ノーブルチルドレンの残酷 / 綾崎隼 / メディアワークス文庫
ノーブルチルドレンの残酷 (メディアワークス文庫)

「俺がお前を好きになるなんて、十回生まれ変わっても有り得ないよ」
「最初はロミオもそう思ってたかもね」
「俺はロミオじゃない」
「残念だけど、あたしもジュリエットほど弱くはないわ」

舞原家の跡取りである舞原吐季はひとつだけ空いた部室を手に入れるため、『演劇部』と偽って創部の準備を進めていた。
同じころ、舞原家の因縁のある一族の娘である千桜緑葉も『保健部』の創部を目論んでいた。
やる気の無い変わった顧問候補の有栖川のせいで二人は創部をかけて推理勝負をするはめになり…。


綾崎隼先生が綴る待望の新作『ノーブルチルドレンの残酷』です。


相変わらず素敵な物語を書いてくれます。
片思いってどうしてこんなにも切なく心に響くんでしょう。
恋を知らなかった彼女が恋を知り、
好きな人に必死に振り向いてもらうと頑張る姿がとてもせつなかった。


誰もが通過するであろう、痛みや悩みを経験していないことに危機感を覚えてた彼女ですが
その目論見はある意味達成しているように思えます。


吐季と過ごす日々は少しも思い通りに行ってないのですから。

「あたしは必ず、吐季を振り向かせてみせる」

そんな彼女の切なる想いがこれから吐季や周りの人達をどう変えていくのかは、続きを待たないといけないようです。
本作は綾崎先生、初の<続編を想定したシリーズ>でした。


学園青春ミステリーとなっていますが、ミステリ要素は少なめで、
前述のようにメインは主人公二人の恋の行方です。


吐季が幸せを放棄する理由、
舞原へ復讐を願う琴弾麗羅が吐季となぜ行動を共にするのか
長谷見芽衣が何を企んでいるのか
歩夢と緑葉の関係
など、まだまだ気になる要素が盛りだくさん。


今から次巻が楽しみで仕方ないです。


ちなみに本作でも作品間での登場人物のリンクは健在です。
永遠虹路から舞原七虹、吐息雪色から舞原雪蛍が登場します。
どちらも素敵な物語ですので、読んでいない方は是非読んでみてください。
より一層、本作が楽しめると思います。