雨の日のアイリス / 松山剛

雨の日のアイリス / 松山剛 / 電撃文庫
雨の日のアイリス (電撃文庫)

リリスの、言ってるのは、生きるか、死ぬか。……アイリスの、言いたいのは、何のために、生きるか」

これはあるロボットの記録。
アイリス・レイン・アンヴレラはロボット研究者・アンヴレラ博士のもとにいた家政婦ロボットであった。
主人から家族同然に愛され、不自由なく暮らしていたはずの彼女の記録。
それは出会いと別れの記憶でした。


素晴らしい物語でした。
こういう物語がある限り私はライトノベルを読み続けるでしょう。
一巻完結なので、気軽に読んでみて下さい。


本作はロボットを通じて、「何のために生きるのか」考えさせられました。


「何のために生きるのか」
それはきっと人それぞれだと思います。
それを失ったら、それこそ生きてはいけないくらいのもを持ってる人もいると思います。
それは依存かもしれませんが、それくらい大切な何かを持っているのは素晴らしいことです。
しかもそういう存在は大抵が普段は意識していないため、
失ってからその存在の大切さに改めて気付かされます。
だからこそ、今を大切にしないといけないんだと。
自分や大切な者がいつ無くなってもいいように。


ここから先はネタバレを含んだ感想となります。







真夜中の読書会のシーンが良かったです。
ロボット達が本を通じて、いろいろ考えてるシーンが心をくすぐりました。


最後はご都合主義かもしれませんが、ハッピーエンドに終わってくれて本当に良かったです。
特にリリスが無事だったのが本当に嬉しかったです。
そしてアイリスが新しい生きる目的を見つけることが出来たのも良かった。
ボルコフの死は無駄ではなかったんだと。


最後に紹介になりますけど、同じようなロボット(アンドロイド)と人の物語で『イヴの時間』という作品があります。
こちらはアニメーションですけど、やはり素晴らしい物語です。
興味があるかたこちらも観てみてください。

「イヴの時間 劇場版」 [Blu-ray]