小説家の作り方 / 野崎まど

小説家の作り方 / 野崎まど / メディアワークス文庫
小説家の作り方 (メディアワークス文庫)

「物見さん」
「小説とは、なんでしょうか?」

小説家の物見はある日、ファンの女の子紫依代から
小説の書き方を教えてくれという奇妙な依頼を受けることになる。


一番面白い小説のアイディアが思いついたけど小説の書き方がわからない。


「一番面白い小説」が気になった物見はこの依頼を受け、紫依代に小説教室を開くのである。
小説教室を開く内に彼女が普通ではないことが次第に明らかになっていき…。



面白かった。
今作でもヒロインのキャラがいい味出してます。
最後の展開は今回もしてやられた感があります。


以下ネタバレ有り






・独特のテンポの会話
・5万冊の小説を読んだ
・ソフトクリームを食べるのが初めて
・文化祭が初めて


こりゃ人じゃなくてロボット(アンドロイド)かな?と予想して読み進めてました。
途中で予想が当たった?と思ったら
AIだけど本体は大型コンピュータでそこから人に通信してやりとりしている展開で、
こりゃ外したと、また読み進めると最後の最後で、またひっくり返されてしまい。
正解したはずなのに何故か外してしまったような不思議な気持ちになりました。


作中に記述されているとおり、見事に意識を誘導されてしまった。


本作はまどさん本人の経験をある程度ベースに書かれているのだと思いますが
自虐が多すぎるけど、なんとなくそれが外れてないのも面白かったです。
地味と言えば確かに地味な印象は受けます。
それでも自身でも書かれているようにまどさんが描くキャラは好きです。
今回もヒロイン紫さんがいい味出してます。
最後のシーンで、自分が書いた処女作を見せられないと言ったところ可愛すぎる。
製作者本人は自我が芽生えていないと断言していたようですけど、
このセリフを読むと、とてもそうは思えない。


「一番面白い小説」
この先執筆されるのかはわかりませんが、
もし完成したら生きている間に読んでみたいものです。