真夏の日の夢 / 静月遠火

真夏の日の夢 / 静月遠火 / メディアワークス文庫
真夏の日の夢 (メディアワークス文庫)

「なんでですか、そりゃ僕は貧乏ですが、先輩に日頃の感謝と尊敬を表す品くらいは買えるのです」

ある大学の演劇サークル(通称劇研)が資金繰りに困っているところに、奇妙なバイトの話が転がってきた。


「一つの所に何人か集めて、一定期間外部との連絡を絶ち、どんな影響があるか調査する。
なお期間内に外出てしまった場合、バイト料は一切支払われない。」


劇研リーダーに憧れる修太郎(主人公)
劇研リーダー龍之介先輩
メガネがトレードマークのメガネ
人畜無害な草食系男子の因幡さん
看板女優の蘭花女史
かわいい系女子の雪姫
某アニメのキャラクターにそっくりなレイ


以上7人のメンバーが、サークルメンバー3人が住むボロアパート、通称GS屋敷に一ヶ月間閉じこもることになった。
夏合宿のように楽しんでいたサークルメンバー達であったが、6日目の朝に雪姫がアパートからいなくなっていることに気づく。



予想外に面白かった。
色々とおかしい点があるのは薄々感じていたのですが、普通の青春物として読んでいたのもあって完全に騙されました。
先入観って怖い。ミスリードされて本当悔しい。




ここから先はネタバレ全開の感想(未読注意!)



全てが明らかになってから、再度読み直すと色々と気づくところがあって面白い。


まずレイは主人公のことを好きなのかと思った。全然違った。
エヴァを思い浮かべしまったのが完全に間違いだった。
でもこの名前とあの喋り方じゃそう思わざるを得ない。


蘭花は実は龍之介先輩のこと好きかと思ってた。全然違った。
龍之介先輩に至っては、女性という発想自体がそもそも無かったです。
終盤になってレイの性別がわかったときに消去法でようやく気づいた。
男性4人って記述に間違いは無かった…。
主人公がなんでこんなにホモホモしいのかと思って読んでたけど、
完全に謝らなくてはいけなくなったなんて…。
他にもあるかもしれませんが、事前気づけそうなヒントはこれかな。


・他のみんなはあだ名だけど、この人だけは本名だ
・「大切な女性なら、おりますが」という主人公のセリフ
・龍之介先輩が脈なし宣言されて落ち込んでる




不満はGS屋敷の見取り図が無かったことくらいです。
あとがきでごちゃごちゃした家の間取りを一人称で説明するのは難しいって書くくらいなら、見取り図を載せて欲しかったです。
あの説明で上手く頭に思い浮かべることが出来るのが普通なのかな…。



全体的に本当に上手く話を作ったなって思いました。
次回作は私の好きなラブコメらしいので期待です。