アイドライジング! / 広沢サカキ

アイドライジング! / 広沢サカキ / 電撃文庫
アイドライジング! (電撃文庫)

「どんな立派な動機をもっていてもなれない人はなれないし、気まぐれで応募した人が受かることもある。
 アイドルには素質のある人が選ばれる。ただそれだけのことで、それは当然のことよ。そしてモモちゃんには素質があった。
 動機はなんであれ、ね。素質を評価されるのは別におかしいことじゃないわ。素質がなくて、それでもアイドルになりたいのならば努力しかない。
 その努力でなにかの成果を得ればちゃんと道は開かれるから」

第17回電撃小説大賞金賞受賞作「アイドライジング!」です。

読む前まで某ゲームのように歌と踊りで競うのかと思っていたのですけど全然違っていました。


アイドライジングとは美少女達が夢と名誉を掛けて戦うスポーツでした。
アイドライジングのルールはシンプル。
アクセルスマッシュと呼ばれる、特殊攻撃を先に相手に当てた方が勝ち。
なお、アクセルスマッシュは試合中に3回しか撃てないという制約があり、アイドル達は各々が身に纏うバトルドレスの持つ特殊能力を使い戦い合う。


このバトルスーツは各企業の技術力を人が着られるスーツに凝縮したものとなっています。
単純比較できるものではないのですけど、アイドルが勝てばバトルスーツの技術が優れているといえるため、スポンサーの企業はアイドルたちに投資するという仕組みです。
当然のごとくアイドライジングの舞台に立つ権利はオーディションを勝ち残った一部の人にしか与えられません。


主人公のアイザワ・モモは偶然にも新アイドルの募集してる事務所の室長の目に叶い、アイドライジングの舞台に立つことになります。
アイドラジングの知識がほとんど無かった彼女が成り上がって行く展開はまさにシンデレラ・ストーリーそのもので非常に楽しめました。


主人公のモモは頭の回転の早い素直で良い子。
モモを支えるプロデューサー(女性)のオウダ・サイ。
モモにアイドルの座を横から取られた裏主人公のハセガワ・オリン。
百合っ気全開の先輩アイドル、タキ・ユウエン。
アイドラジングの女王マツザキ・エリー。


出てくる登場人物が女の子ばっかりなので、百合っぽい描写が結構多かったですね。


モモにアイドルの座を奪われたハセガワ・オリンちゃんは本当可哀想だった…。
かませ犬にしかなってないよ。
モモとは別に彼女がこのどん底から成り上がる展開を今後は期待したいです。


気になったのはモモが本作で一気に登り詰めてしまった感があるのと、彼女のバトルスーツの特性が地味すぎる点です。
バトルはもっと派手にやり合ってもいいのかなって。
不利な特性をモモの身体能力とサイの作戦で逆転するところが見所だからしょうが無いのかな?
後は1on1じゃなくて2on2とかのチーム戦も見てみたいですね。


今後、新人アイドルの二人がアイドライジングの舞台でどう活躍していくか楽しみです。