わたしと男子と思春期妄想の彼女たち 1 リア中ですが何か? / やのゆい

わたしと男子と思春期妄想の彼女たち 1 リア中ですが何か? / やのゆい / ファミ通文庫
わたしと男子と思春期妄想の彼女たち 1 リア中ですが何か? (ファミ通文庫)

「それでここからが大切じゃ。君は成長したのだから、誰かを育てなくてはいけない」
「育てる?」
「左用。君と同じく嫉妬に狂った者を見かけたら、自分が知ってる全ての方法を使って慰めなさい。そうすることでその者も救われる。そして、救われた者は誰かを救う。優しい連鎖が続く。素晴らしいことだと思わないかね」

遅刻ギリギリの登校中に峰倉あすみは一人の虚無僧に「悪霊がついておる」と呼び止められる。
除霊をしないと想い人(幼馴染)の「高柳尚人」にも災厄に見舞われると言われ、焦るあすみは他者への影響を防ぐための法具としてお守りと謎のコンタクトレンズを虚無僧から受け取ったのである。
学校に着いてから謎のコンタクトレンズを装着すると「男子の妄想から生まれた妄想少女」が見えるようになったのである。
現実に理想の女の子がいる男子には妄想少女はいないと、妄想少女の一人であるリサから告げられると同時に
想い人の高柳尚人に妄想処女がいないことを知り、ショックを受けるあすみ・・・。
まずは高柳くんの彼女を見つけることを決意するあすみであった。


第12回えんため大賞優秀賞作品です。
なかなか面白かったです。


ブコメを女の子視点で読むと新鮮で面白いですね。
主人公は鈍いのは男が主人公の時と変わらないのはお約束。


主人公のあすみは明るくてバカっぽい子でしたけど、この子は本当にいい子。
別の作品の裏工作が大好きな菜々子さんとかも好きなんですけど、
こういう元気一杯で裏表が無い女の子も読んでて気持ちいいです。


妄想少女のリサと仲良くなって、彼女と離れたくない一心でコンタクトレンズが無くなる直前に虚無僧探し一日中駆けずり回ったり、
お寺であった住職さんからの言葉をちゃんと受け止めて成長するし。


『誰かに優しくされたら、自分も誰かに優しくする』という優しい連鎖って
実際になかなか行動に移せないと思う。
これをあの状況で思い出して、学級会の流れを変えてしまったシーンはちょっと感動しました。
人が成長するシーンってやっぱりいいです。


ちょっとここからネタバレを交えています。
リサが消えたのは、佐島くんの理想の女子があすみになったのかなって思ったんですけど
あっさり復活してアレって思ってしまいました。
佐島くんが昔好きだった女の子はあすみだと思うんですけど、やはり昔に吹っ切れて河内理沙一本なんですね?


次巻が出る場合は高柳くんの気持ちを知ってしまったあすみがどう動くかが楽しみです。
そういや川上&仲居はどうなったんだろう…これも次巻でわかるのかな。