レイヤードサマー / 上月司

レイヤードサマー / 上月司 / 電撃文庫
レイヤード・サマー (電撃文庫)

「そんな訳で、やれるだけやってみる。当然、死ぬような大怪我もしないし、庵璃だって殺させない。全部上手くいくようなハッピーエンドはちょっと欲張り過ぎだと思うけど、そこに向けて全力でやってみないとな」


 未来からやってきた殺人鬼エッグイーターにより近い将来に殺されてしまうことを同じく未来からやってきた少女庵璃から知らされる主人公涼平
庵璃はそれを防ぐために、未来からやってきたと言う。
涼平を巻き込みたくない庵璃はエッグイーターには関わらないように告げ去っていく。
翌日、庵璃の忠告を無視して涼平はエッグイーターと庵璃を探し始める。


 自分が殺されてもいいという覚悟を持って最後まで幸せな結末を迎えようと頑張るところはやっぱり主人公ですね、カッコイイです。
でも、幼馴染の野々子を蔑ろにしてるところはやっぱりいただけないです。
野々子の本当の気持ちは随分前からわかっていたはずなのに…。
本作では野々子への返事は保留されたままだったのが残念です。


最後のオチが、『WILD ARMS Vth Vanguard』に似てると思いました。
全てを知っている庵璃は未来へ、新しくこの世界へやってくる庵璃は純粋に何も知らない庵璃。
同じ人間だけど知ってる情報が違うだけで違う人間なんですよね。
それでも再び彼女と出会うことが出来たのは良かったです。

続編がある場合は、庵里と野々子と親友の忠史を交えたラブコメになるのかな。
それはそれで楽しい物語になるんだろうな。