めたもる。 / 日比生典成

めたもる。 / 日比生典成 / メディアワークス文庫
めたもる。 (メディアワークス文庫)

「本当に、よかったとお思いですか? 人はどんなに姿を変えても、所詮は人。人の本質が変わるわけではありませんよ。むしろ、姿を変えることで、一時しのぎの逃避になったり、誰かを騙しているのではありませんか?」

11月のメディアワークス文庫から3冊目「めたもる。」です。
心が温まるお話が4つ収録されています。
癒されました。


「真実の鏡」
「ランナー」
「月の猫」
「SPRING COMES IN LIKE A LION」


各話それぞれ主人公が異なっています。
共通しているところは、日頃の行いの感謝として狐の神様コンから変身できるお札貰う点です。
それぞれの主人公達は半信半疑に試しにお札を使ってみます。*1
その結果、普通なら絶対に知ることの出来なかった大切な人の気持ちを知ってしまうことになり…というお話。


テンポよく話が進んでいって、どの話も綺麗に終わっているため読後感がとても良かったです。
4つの話の中で一番好きなのは最後の話です。
家庭環境のせいか同級生に嘘をつくような振る舞いをしてしまうようになった転校してきた幼馴染が主人公のおかげで良い方向に変わってくれて救わました。
根本原因である家庭環境の問題については解決されませんでしたけど、愛する人が出来ると人はあそこまで変わることができるんだなと改めて思いました。

*1:月の猫だけは違います