やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 6 / 渡航

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。 (6) (ガガガ文庫)

「でも、お前のやり方は間違っている」
「……じゃあ、……正しいやり方を知っているの?」

ガガガ文庫11月の新刊『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』の6巻です。

今回の舞台は文化祭。
ひょんなことから、文化祭実行委員になってしまった八幡と雪ノ下の活躍がメインの内容でした。

地の文の面白さは相変わらず。巻が進んでもマンネリさを感じさせない面白さでした。
共感させ方がとても上手いのが魅力の一つなんだと思う。

文化祭準備で忙しさに追われるシーンで、忙しさのあまりに現場が疲弊していく様子はまさに、現実の職場そのものといった感じ。
八幡は社畜っぷりがあるあるネタすぎて、ちょっと泣けました。

この世界には分不相応というものがある。
誰もが、自分自身が持ってる力を把握し、余計なことをしなければどれだけ平和でいられるんだろうか。
今回のエピソードはそう思わずにはいられないお話でした。

雪ノ下のやり方を間違っていると糾弾した八幡だけど、彼がとった行動も正しいとは言えない。
けれども結果だけみると、彼の行動によって丸く収まってしまう。
そのあまりにも酷いやり方は、逆にもっといい解決策があったんではないかと思わずにはいられない。

自身が悪役(犠牲)になることで、全てが上手くいくことをわかっても普通そんな簡単に実行できない。
ここまで泥をかぶりたがる主人公もなかなかいない。
あのやり方は読んでいるこちらが辛かった。
でも、誰もが言いたいけど言えないことをあえて彼女に突きつけてくれたので、正直スカっとしたところもある。

だけどそれでもやっぱり、やるせないし、もどかしい。

「比企谷。誰かを助けることは、君自身が傷ついていい理由にはならないよ」

平塚先生が言うように、八幡が傷つかなくてもいいやり方だってきっとあったはずだ。

この物語に平塚先生、由比ヶ浜という理解者がいて本当良かった。
最後の部室シーンには大分救われました。

特にゆいゆいいい子っぷりはヤバイ。戸塚よりも彼女の方が癒される。
彼女の魅力に気づいてるからこそ、八幡は逆に自信が持てないというのもわかる。
それでも今回の二人のシーンを見ると、八幡と由比ヶ浜の距離は大分縮みましたね。
八幡が今度は間違えたくないと思えるようになったのは嬉しかった。

ぎくしゃくしていた八幡と雪ノ下との仲もようやく解消。
あのふたりの毒舌の応酬はちょっと懐かく感じた。

次回からようやく平常運転になるのかな。
最後の文章にちょっと不穏な物を感じましたけど、取り越し苦労だといいな。