天鏡のアルデラミン 2 / 宇野朴人

ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン (2) (電撃文庫)

「では逆に、きさまの面目が潰れるのはどのような場合なのだ」
「ああ、うーん、それは――」
「――言いたい時に言うべきことを全部言えず、守りたい時に守るべきものをきちんと守りきれなかった。そんな場合じゃないかな」

北に配属された騎士団の面々。

楽な地方に配属されたはずが一点して、内戦に…。
後方支援だけ任されるはずが、いつしか前線に出ることに…。

電撃文庫11月の新刊『天鏡のアルデラミン』の2巻です。
作者自らがあとがきで、『アルデバラン』、『アルデミラン』とかタイトルをネタにしてて笑った。

1巻は演習でしたが今回は訓練ではなく実戦。
1巻でも集団戦が見事に描かれてましたが、2巻も変わらず軍隊の進軍の様子が見事に描写されていてすごく惹きこまれました。

部下が優秀でも上司が無能だと、現場はキツイですね。
これはいつの時代も変わらない。

イクタやヤトリが優秀でも、あくまで指揮できるのは自分達の周りの部隊だけ。
上官の戦術ひとつでこうも味方の被害状況が変わってしまうとは…悲劇としかいいようがない。
無能な上官についたばかりに死んでしまう部下達は報われない、イクタが怒りに震えるのもわかる。
彼等の手がおよばないところで人が死んでしまうところは悲しかった。

人の命がこうもあっさりと、まさに駒のように死んでいく様子は正直怖い。
最後に大勢は決したものの、そこまでの過程が酷すぎる。
イクタが言うようにこれを勝利と言えないですね。

ようやく一息つけると思ったのもつかの間。
最後の展開は一難去ってまた一難とはまさにこのこと…。
消耗し切った状態からの撤退戦は想像以上に厳しいと思う。

彼等が無事でいられるのか

3巻がすごく楽しみ。