ムシウタ 01 夢みる蛍 / 岩井恭平

ムシウタ〈01〉夢みる蛍 (角川スニーカー文庫)

「俺は、お前なんか怖くないぞ」
「お前たち”虫”のせいで夢を諦めることのほうが、俺にとってよっぽど怖いからな」

夢を喰うことを代償に、虫が持つ力を宿主に与える虫が現れてから10年が経とうとしていた。
一度、虫に憑かれたら最後、夢を食い荒らされるまでその存在から逃れることはできない…。

虫憑きの少年少女3人が織り成すボーイミーツガール、『ムシウタ 01 夢みる蛍』です。

ここまでせつないボーイミーツガールだったとは思わなかった。
どうしてこうなってしまっただろう。

虫憑きという、後ろめたさが全てをこじらせてしまった気がする。
利菜に訪れた結末は本当悲しかった。
互いの夢は同じはずなのに…。

虫憑きを欠落者にして管理しようとする「特環」に対し、虫憑きを保護しようと動く「むしばね」。
なんの説明もなし一方的に欠落者にしてしまうのもやりすぎな気がするけど、欠落者から復活した詩歌を思うと、欠落者の方が夢を食われて死ぬよりはマシなのかもしれない。

どちらが正しいかはわからない。
でも、もう少し歩み寄る余地はあったんじゃなかったと思わずにいられなかった。

最新刊に追いつくには時間が掛かりそうですがゆっくり読み進めて行こうと思う。
面白かったです。