クドリャフカの順番 / 米澤穂信

クドリャフカの順番 (角川文庫)

「自分に自信があるときは、期待なんて言葉を出しちゃいけない」

氷菓』アニメ化記念、再読三冊目。
古典部シリーズの3作目『クドリャフカの順番』です。

刷りすぎてしまった「氷菓」を売り切るために、古典部のメンバーが奮闘する話。
再読して改めて思いましたけど、古典部シリーズは巻が進むにつれて面白くなっていきますね。

本作は語り手が奉太郎から、古典部の4人に広がったおかげで、千反田、摩耶花、里志の行動原理がより深くつかむことが出来て面白かった。
文化祭という舞台にも関わらず、溢れ出る好奇心を抑えて頑張るえる嬢は可愛かった。
それでもいつにも増して「わたし、気になります」が多かった気がする。

それにしても奉太郎はどんだけ、千反田の好奇心が爆発してしまうことを恐れてるんだ。
「猫を殺す悪魔の感情」とまで表現する奉太郎には笑ってしまった。


かねてから、自分が運がよいから推理できるといっていた奉太郎ですが、今回はまさにそれを実証したような感じでした。
「小麦粉」、「夕べには骸に」のふたつはまさに古典部のピンチを救ったと言っても過言じゃない。
わらしべプロトコルが奇跡すぎた。
そのおかげか、安楽椅子探偵のお手本というくらい、今回は腰が重かったのに、あっさりと十文字事件の真相に辿りつけてしまったのは、見事という他ない。