アクセル・ワールド 11 ―超硬の狼― / 川原礫

アクセル・ワールド〈11〉超硬の狼 (電撃文庫)

「原点に立ち返れ、クロウ。強い力は、それに見合うだけの深い傷から生まれる。――貴様はもう、そのことを知っているはずだ。」

ISSキット本体を守護するメタトロン攻略のため、光線技に対して絶対の耐性を持つアビリティの『理論鏡面』の取得を命じられたシルバー・クロウ。そんなクロウの前に、新たな強敵が立ちふさがる。
最硬のデュエルアバター『ウルフラム・サーベラス』。その強さはレベル1にも関わらず、シルバー・クロウを凌ぐものだった…。

電撃文庫4月の新刊、『アクセル・ワールド』の11巻です。

赤の王との特訓から始まり、明かされる謡の過去、強敵との対戦と、内容盛りだくさんで面白かった。
見所は多いけど、その中でも良かったのがサーベラスとの対戦。燃えた。
アクセル・ワールドの醍醐味は対戦だと再認識。

『物理無効』という強力なアビリティを持つサーベラスに、物理攻撃しかできないクロウがリベンジできるのか疑問に思っていただけに、リベンジがあっさりと成功しそうな展開には驚いた。先輩と師匠の特訓は伊達じゃない。

惜しむべくは、サーベラスとの決着が次の巻に持ち込まれてしまった点。追い詰められてから、隠していた力の解放という展開は王道で楽しませてくれたけど、続きが気になって仕方ない。

最後にみせたのは、2つめのアビリティの発動かな?
右肩も左肩と同じように展開して顔になりそうな予感。サーベラスケルベロス)という名前の通り、3つのアビリティ持ちだと予想。12巻で判明するといいけど、持ち越されそうな気もする。


物語の進みは遅いけど、ハルユキは本当いい方向に成長したと思う。新人に敗北して初めて、かつての自分の言動の酷さに気づいて、タクに謝りに行く姿をみて感じた。その謝罪を素直に受け入れるタッくんの心の深さもすごい。幼馴染っていいものだ。

「問題ない、あらゆる努力は最終的に一点へと収斂するものだ!」

この先輩の言葉通り、随所に散りばめられた伏線も、いつか一点に収斂することを期待したい。次の巻が待ちきれない。