ゴールデンタイム 4 裏腹なるdon't look back / 竹内ゆゆこ

ゴールデンタイム〈4〉裏腹なるdon’t look back (電撃文庫)

「多田くんこそ、嵐だよ……嵐のように私の心をかき乱す」

電撃文庫3月の新刊、『ゴールデンタイム』の4巻です。

失ったはずのリンダへの想いが再び蘇り戸惑う万里。
香子という存在を前に、リンダへの気持ちを押し殺すことを決めた万里。
それでも、リンダを目の前にすると揺れ動く自分の気持ち。
リンダへの想いと、香子への想いが共存するという、複雑な心理描写が相変わらずうまい。

そして香子の愛が重すぎる。
ヤナっさんが嫌になるのもわかる。

だけどあんな状態の香子を受け止めて、しかも楽しんで嬉しがっている万里ってすごい。
健全な状態とはいえないふたりにハラハラしてたら、案の定後半で爆発。

香子が不安になるのもわかるけど、それでも束縛するという方法以外に万里の気持ちをつなぎとめる方法を知らない彼女は不幸なのかもしれない。幸せになるには、時間を積み重ねていくしかないのかな。

最後の万里とリンダのシーンは胸が締め付けられた。
彼女は香子とは違い、自分の気持ちを隠してしまうせいで余計に傷ついてる気がする。
もう少し我侭になってもいいんじゃないかな。

一件落着にみえる終わり方がこの先の嵐を予感させます。
次はどんな展開になるのか楽しみ。