ココロコネクト ユメランダム / 庵田定夏

ココロコネクト ユメランダム (ファミ通文庫)

「それは全てを選んだようで、その実なにも選んでないんだ。特にお前の場合は」

今回の現象は他人の願望を映像としてみることができる『夢中透視』。
人の願望がみえても、反応しないで何もしないことが今回の対策だという稲葉。
だが、夢や願いを知って、それを叶えてあげられるのなら、力を使うべきだという太一。
互いの意見は平行線を迎え、やがて思わぬ自体に…

ファミ通文庫の2月の新刊『ココロコネクトユメランダム』です。

主人公、太一にスポットをあてつつ、なんのために生きるのか?ということ考えさせられるお話でした。
誰にでもやさしいってのは誰にもやさしくない
という言葉を思い出しました。

自分の意見や主張を持たないまま力を使う今回の太一は痛々しくみていられなかった。
稲葉にそこまで言わせても、意地になる彼の姿はキツイものがある。
結果、見事に失敗してしまいます。
でも長い人生を考えると彼はいまこの時期に失敗できるのは幸せだと思う。
人はいつでも変われるとはいうものの、早く変われるならそれにこしたことはない。

何はともあれ、新たな一歩が踏み出せたようで良かった。
それにしても太一はでっかい夢を見つけたなあ。

唯との青木の関係もようやく進展。
唯の告白シーンはグッときた。
唯と青木なら明るく楽しい家庭が作れるさ。
おめでとう。

今回が最後と<ふうせんかずら>はいいましたけど、最後の引きが不気味でしたね。
短篇集を挟んで残り2冊の予定とのこと、本当の決着は最終巻ですかね?
終わってしまうのは悲しいですが、結末が楽しみです。