乙女ゲーの攻略対象になりました…。 / 秋目人

乙女ゲーの攻略対象になりました…。 (電撃文庫)

「たとえばの話さ……」
「ここが、宮河が主人公の、ゲームの中だったらどうする?」

ここって、妹がやってた乙女ゲーの世界?
確かその乙女ゲーでは俺のシナリオでは俺が死亡するバットエンドが多いとか…。
このまま俺ルートへ入るとまずい。
なんとしても、それだけは避けなければ…。


1月の電撃文庫の新刊『乙女ゲーの攻略対象になりました…。』です。
昨年メディアワークス文庫で『騙王』でデビューした秋目先生の新刊です。
騙王とはまったく違うジャンルで不安でしたが、そんな不安を吹き飛ばすくらい面白かった。

乙女ゲー、いわゆる女性主人公が異性の攻略対象を落とすゲーム。ギャルゲーの男女逆転版。
それをデスゲームラブコメにしてしまうのは斬新だった。

本来攻略される側の主人公が、自分の攻略ルートに入ることを恐れて行動してる様子がメインなのですが、その様子がとても面白い。休日デートの誘いは全部断る徹底っぷり。
前世の記憶があっても、乙女ゲームを勉強しようと自ら乙女ゲーをプレイし始めたり、フラグ回避のための行動に余念が無かった。その行動が他のキャラの好感度アップに繋がっててるところもいい。

肝心の主人公キャラとのイベントは必死に回避してるはずなのに、強制イベントのせいで接触せざるを得ない状況になったりして、ゲームの世界の強制力がうかがえます。

そんな中、攻略対象と関係ない『騎士プ』の手紙の人が主人公の中で美化されるのはわかる。
あのブレない姿勢にはなんか癒される。

しかし、あれだけ回避してたにも関わらずあんな終わり方とか、主人公ルート確かにバグってますね。

「でも、湊先輩? たくさん説明しましたけど、攻略対象によっては、好感度あげやパラメーター判定もなし、フラグも不要。そのかわりに特殊条件クリアのみ、なんてキャラクターもいたりしますから……って聞いてます?」

きっとあの遊園地イベントが特殊条件だったのだろう…。


共通ルートが終わり、いよいよ個別ルートに入りそうな次巻が非常に楽しみです。
前世の妹がいってたようにライバルキャラが全力で主人公を狙ってきそう。