沢木道楽堂怪奇録 はじまりのひとり / 寺本耕也

沢木道楽堂怪奇録―はじまりのひとり (メディアワークス文庫)

「――バカッ! 死ねなんて簡単に言うなっ! だれかが死ぬと残された人がどんんだけ寂しいかあんた知ってるの!? それも知らないで、死ねなんて言うなっ!!」

霊が見える体質のなんでも屋の沢木と、霊に好かれる体質になってしまった女子高生雪穂。
霊絡みのトラブルはお断りと宣言しているにも関わらず、沢木の元に今日も雪穂がやってきて新たなトラブルを持ち込んできた。


メディアワークス文庫11月の新刊から『沢木道楽堂怪奇録 はじまりのひとり』です。
全四編からなる連作短編集です。
前半の二編はホラー系、後半の二編は感動系と、バランスの取れた内容となっていました。


夜中に読んだせいもあってか、前半の2つは本当怖かった。
小説読んでこんなに怖くなったのいつ以来だろう。


特に二話の不気味さは異常。
サブタイトルになっている話なのですが、収録されている他の話と比べるとかなり異質の内容でした。
あまりのヤバさに沢木が逃げ出して真相が判明しなかったことが、より怖さに拍車をかけている感じ。
真相は続編で判明するのかな…。アレは本当何だったんだろう。


後半の二編は前半の二編と比べて大分マイルド。
特に三話はかなりコミカルな仕上がりになっていて大分癒されました。
理屈っぽい幽霊相手に語る沢木の霊理論は斬新で面白かった。


四話は感動系の話。
残された想いを届けることが出来て良かった。
こういう経験を通じて、雪穂が大人になっていくのはいいですね。


あとがきを読むと沢木と雪穂が出会う怪奇はまだまだあるみたいで、続刊が予定されているようです。
今から楽しみです。