修羅場な俺と乙女禁猟区 / 田代裕彦

修羅場な俺と乙女禁猟区 (ファミ通文庫)

「そうだろ。なら、この≪ゲーム≫に勝つために、君がしなくてはならないことはなんだ」
「ええと……あの五人の婚約者の中から、俺を憎んでいない一人を探して、正式な婚約者として選ぶ……だったか?」
「君の行動はそれを理解していたとはとても思えんね。君は自分の生活が乱されるのが嫌で、婚約者候補の少女たちを煩わしがって遠ざけているだけだ。私に言わせれば、問題を後回しにしているに過ぎない。『明日からがんばる』とでも言うつもりか?」

父親から婚約者候補として紹介された5人の美少女達。
この娘たちは自分のことを殺したいほど憎んでいるが、たった一人だけ純粋に自分を愛している娘もいるという。
その一人を見つけ出して、選ぶことができれば俺の勝ち。


負けたら破滅のデッドエンドハーレムの幕が今上がる。


10月のファミ通文庫の新刊『修羅場な俺と乙女禁猟区』です。
設定が斬新で面白かった。
ヒロインたちと主人公との騙し合いを楽しむ、ラブコメの皮を被ったちょっとしたミステリー。
よくあるハーレムものだと思うなかれ。


5人少女達は主人公の婚約者になろうと「私こそが、あなたを愛している唯一の人」だとアピールしながら主人公につきまう。
内心では何を考えているかわからない彼女たちと、ハーレム生活を続けるのは本当に辛いと思う。
勝者に与えられる財産と権力のためなら、ここまで自分に嘘をつけるものなのか?と困惑してしまうのも頷ける。


しかしこんな状況の中、情に流されず冷静に分析して行動していく主人公はなかなか良かった。
最後のシーンの騙し合いも見事。
自分の本心を見抜いた主人公に本当に惚れてしまう展開はお約束だけど好き。


ヒロイン達の中では婚約者候補ではない、メイドの睦月が一番好き。
きっと最後には彼女を選び出してくれることを期待してます。
あの場には彼女もいたし、あのセリフと矛盾しないし大丈夫でしょう。


最終ページに完とありますけど、続刊出ますよね?
ゲームはまだまだこれからだし、主人公が計画している親父への復讐も気になる。


続きが気になってしかたない。