超特急便ガール!! / 美奈川護

超特急便ガール!! (メディアワークス文庫 み 3-2)

「少し、迂回路を走ってただけです」
「馬鹿野郎。配達員に、寄り道はご法度だ」

大手企業を自主退職し、バイク便会社ユーサービスに転職した吉原陶子。
目覚めてしまった特殊能力に振り回されながらも、転職して早一ヶ月が過ぎた頃、
自転車便担当の新人が入ってきたり、過去の配送事故の件が掘り起こされたりと、慌ただしい日々を過ごしていた。
そんなある日、陶子自身にヘッドハンティングの話が降って湧いてきて、人生の岐路に立たされることに…。


特急便ガールの続編『超特急便ガール!!』です。
いい物語でした。
物を届けるだけの話なのになんでこんなに心に響くんだろう。


特好きなのは3章と4章。
3章は過去に1件だけ起きた配送事故によって届けられなかった荷物を運ぶ話。

「それでも、もし僅かでも生きている思いがあるなら」
「私はそれを……届けたいんです」

陶子の力があってこそできた再配送。
でも届ける役を届けることができなかったあの人にやってもらうところがイイ。


4章は陶子に来たヘッドハンティングの話。
すっかりユーサービスに馴染んでいたので忘れていましたけど、大手企業の大湊商事を辞めて流されるまま入ったんですよね。

「やりたいことなんかありません。理想なんかもありません」
「ただ私は、自分の仕事に誇りを持ちたいだけです」

このまま今の会社でいいかは誰もが一度は悩んだことがあるかもしれません。
陶子も道に迷ってしまいましたけど、最後は無事着荷完了して良かった。



最後のエピローグを読むと何やらこれで終わってもおかしくないみたいな感じでしたけど、
個人的にはもう少しだけ、彼等の配達業務を見てみたい。
特に菅野についてはまだまだキャラの掘り下げが足りないと思う。


続編がでることを期待します。