赤鬼はもう泣かない / 明坂つづり

赤鬼はもう泣かない / 明坂つづり / ガガガ文庫
赤鬼はもう泣かない (ガガガ文庫)

「泣いて事がすむんやったら好きなだけ泣きよし。でも、あんたにはまだやることがある」

女子の二の腕をなめてしまっい、単身地方の学校へ転校させられる主人公の大豪。
ヒロインは、転校してきた大豪の指を指チュパした、喪庭ここめ。
他のクラスメイトもどこか普通ではなく、大豪も『垢舐』という妖怪のレッテルを張られつつ、新しい生活をスタートさせる。


第5回小学館ライトノベル大賞、審査員特別賞受賞作『赤鬼はもう泣かない』です。


不思議な世界観の伝奇ファンタジーです。
この独特な雰囲気はガガガ文庫だなと思いました。

ここめと徐々に距離を縮めていく感じが良かったです。
特に良かったのは彼女に字を教えるシーン。
大豪のリアクションが面白かった。


終盤、ここめに隠されていた(読者にはバレバレなのですが)秘密が明らかになり物語は一転します。
非常に重かった。


都合のいい時は神と崇め、都合が悪くなると悪者にする彼等の行いには正直ガッカリさせられました。
それでも彼等と共存するしか生きていけない彼女を守りぬくと誓い、助けだした大豪は格好よかったです。


物語の最後に、ここめがとても素晴らしい笑顔を披露してくれて本当良かった。
あの笑顔はとてもかわいかった。


この笑顔に到るまでには、とても重たい犠牲がありましたけど
彼女も、あの笑顔には満足していると思います。