花物語 / 西尾維新

花物語 / 西尾維新 / 講談社BOX
花物語 (講談社BOX)

「人は人を、一側面だけ切り取って語りたがるが、そんな単純なものではないはずだ。
子供は子供を見るのは親だけだし、親を親と見るのは子供だけだ。肩書きが変われば性格も変わるし、
相手が違えば性格は変わる。
「そして時が変われば。
「性格は変わる。

阿良々木暦戦場ヶ原ひたぎ羽川翼が卒業して迎えた新学期。
神原駿河は悩み事を絶対に解決してくれるという「悪魔さま」の噂を耳にする。
悩み事を解決するという点から、悪魔さまの正体は自分のことではないかと疑い調査を開始する。
悪魔様に直に接触できるという場所に深夜に向かうと、
そこにいたのは、バスケットボール部時代にライバル沼地蠟花だった。


前作の出来のが嘘かのような仕上がり。
面白かったです。


本作は猫物語白と同様にヒロイン(駿河)視点で物語が語られていきます。
暦以外の視点で読めると楽しいですね。
今までは外側しか見せてもらえなかった、キャラの内側が見れるんですから。
是非次回もヒロイン視点でお願いしたいです。


暦視点の駿河は天真爛漫で悩みなんてないだろうという印象でしたけど、
結構、細かいことに拘って悩む性格だったとは意外でした。
冒頭の引用のように、人というのはそんなに単純じゃないと改めて実感。


あとがきにもある通り、
「自分が思うと自分」と、「他人が思う自分」が同じになるということはまず無いと私も思います。
そもそも自分の全てを他の人に見せれる機会ってそうそう無いですし。
時と場合によっては自分ですら知らない自分が見えたりして、驚いたりしますし。
その人自身のキャラクターというは、状況一つで変わってしまいます。
だからこそ、ときに自分を見失ってしまうんですけど。


結局自分の人生なんだから、自分の好きなように生きるのが一番。
伺うのは他人の顔色じゃなくて自分の心。

「やらずに後悔するほうがいいに決まっている」
「そうだな。私もそう思う。やって後悔するほうがいいなんてことを言うのは『やってしまった後悔』の味を知らない、無責任な第三者の台詞だ」
「だけど――一番いいのは、やって後悔しないことだ」


長くなってしまいましたけど、今作は色々考えさせられる物語でした。
次回もこの調子で頼みます。