猫物語 (白) / 西尾維新

猫物語 (白) / 西尾維新 / 講談社BOX
猫物語 (白) (講談社BOX)

彼女がこの数ヶ月で乗り越えてきた色んなものの重さを思うと。
同じように色んな経験をしながらも、結局のところ何一つ乗り越えていない自分が情けなくもなってしまう。
そうだ。
私は何一つ──乗り越えていない。
ゴールデンウィークの騒動を経ても、文化祭前日のあの日を経ても。
成長してない。
変わっていない。
だから戦場ヶ原さんがとても羨ましくて──そしてとても好きで、嫌いになれないんだと思った。
素直に思ったのだった。

化物語シリーズ7冊目です。
今回は語り手が、阿良々木暦に変えて羽川翼です。
語り手も変えて新シリーズと言っても過言ではないです。
これは最高でした。化物語シリーズの中で一番好きな作品です。

阿良々木暦が語る、羽川翼はどうしようもなく完璧な存在でした。
どうしようもなく完璧な彼女はどうしようもなく欠けていました。
その彼女が欠けていた、自分が捨てていたものを取り戻す物語です。

以下ネタバレの入った感想


見ないようにしていた、感情を自分のものして受け入れる。
これほど辛いものは無いと思います。
しかし、彼女にはどうしても必要だった。
そうしなければ大切なものを失ってしまうと気づいたから。
無茶でも無謀でも戦った。
最後には自分の感情と向き合い、結末が見えてていても自分の気持を暦に伝えた羽川は素敵です。
カッコイイです。
変わってしまうあなたを受け入れられない暦じゃ、あなたは惚れなかったと思います。

「さっきお前も言ったじゃねーか。どうなろうと、全部お前だよ。変わってもお前だ。安心しろ。そこで変に甘やかしたりしない。嫌な奴になったら嫌ってやる。悪いことしたら怒ってやる。恨まれたら庇ってやる。頭が悪くなったら──まあ、僕が勉強を教えてやるし」

暦さんまじぱねえっす。
カッコ良すぎです。

でも、今回最高に好きなのはひたぎです。
羽川を心配して連絡網までするわ、貫徹して探しまわるとか、普通友人にそこまで出来ないよ。
ここまで成長するとは思っていなかったです。
毒舌キャラも面白かったけど、今回の新しいキャラの方が私は好きです。

本当に面白かった。
続きの「傾物語花物語囮物語鬼物語恋物語」も期待します。