ココロコネクト アスランダム 上 / 庵田定夏

ココロコネクト アスランダム 上 (ファミ通文庫)

「家族の絆は、絶対に消えないから」

ココロコネクト、最終章『アスランダム』の上巻です。

現象がついに、文研部以外にも始まりだす。
またそれとは別の危機が文研部にも。

今まで経験したことがすべて初期化され、現象によって構築された関係までもが消えてなくなってしまう…。

ふうせんかずらとも、2番めとも違う第3の勢力に翻弄されていく文研部の面々は、次第に心を疲弊させていく。
人を助けることができるのは、自分に余裕があるときだけという、当たり前の事実いまさらながら気付く彼等。
そしてとうとう、事態は予想もつかない方向へ…。

クライマックスに向けて、一気に物語が動き始めました。
今まで3年間かけて築いてきたものが無くなってしまうかもしれないって、これすごい恐怖ですよ。
普通の高校生には耐えられない。
それは、今回現象が起こっている陸上部と比べても明らか。
度重なる現象を経験し確かに文研部は逞しくなった。

何が起きるかわからないのに、みんなを見捨てずに『孤立空間』に突入する彼等の姿は心に来る。
若いっていいなと、思わずにはいられません。

この巻では今まで頼らなかった家族が、最後の希望だったと気付けたところがいい。
一人ひとりが家族と向き合うシーンはこっちの胸まで熱くなりました。
帰れる場所があるとわかるだけで人は強くなる。

下巻が今から楽しみです。