のうりん / 白鳥士郎

のうりん (GA文庫)

「農業はね、楽しいよ。でも、楽しいからこそ、悲しかったりつらかったりすることも大きくなる。そんな大きな悲しみに耐えるには……やっぱり覚悟がいるんだ」

岐阜にある農業高校に、ある日突然転入生がやってくる。
それは憧れの『超人気アイドル草壁ゆか』であった。
憧れのアイドルと一緒に学園生活が遅れると喜ぶ耕作とは裏腹に、ライバル出現に焦る幼馴染の農。
平和だった農業高校に嵐が巻き起こる。


農業学園ラブコメディー『のうりん』です。
ブコメもここまで突き抜けると素晴らしいものになるんだと、感心させられた作品でした。
電車の中や人前で読むのはオススメできません。
不審人物扱いされます。


最初のカラーイラストから突っ込みどころが満載で、
どんな作品なのか手に取る用にわかります。
そして、その期待を裏切らない出来でした。
イラストに文章乗っけるだけで、ここまで破壊力があがるとは…。
今後はこういう作品も増えそうですね。


パロディネタやギャグばかりが注目されがちですが、意外と真面目に農業をやったりするので侮れません。
農業ネタの説明には転入してきたヒロインを上手く使ったな、という印象です。

「あのね、林檎。違うんだ」
「農業をすること自体が、土を傷つけることなんだよ」

普段はバカばっかり言っている主人公が真面目にいい事言うので、やたらかっこよく見えました。


ギャグだけでなくラブコメとしても素晴らしかった。
幼馴染の農と転入してきた元アイドルが、耕作を巡って事あるごとに火花を散らせてくれます。
林檎に勉強を教えてる耕作に農がちょっかいを出して気を引くシーンとか可愛かった。


林檎が耕作を好きな理由はこの巻では明かされませんでしたけど、
なにやら、農は林檎のことを以前から知っている風な感じでした。
幼い頃に3人は友達だったけど耕作だけ忘れてしまってる?とかそんな感じなんですかね。


それにしても、とんでもない作品が出てきました。
萌えやギャグだけじゃないバランスのいい作品だと思います。
面白かった。続きが今から楽しみです。