生贄のジレンマ(下) / 土橋真二郎

生贄のジレンマ(下) / 土橋真二郎 / メディアワークス文庫
生贄のジレンマ<下> (メディアワークス文庫)

(押しなさい)
ああ、この声は悪魔などではなく、まぎもれなく自分のものだ。

私の中に悪魔が棲んでいるのではない。
――悪魔は私自身だ。

生贄のジレンマ 最終巻です。
前回の引きからクラス内でのサバイバルが始まるかと思っていたのですが予想は大きくハズレていました。
心理描写は相変わらず凄いです。


今回のメインイベントは第二のゲームですね。
上手く考えてあるな、というのが正直な感想でした。
最上階へ行くことを煽りながら、長期的視点を持たず、目先の利益を追求していくものから脱落していく。
上に集まるのは裏切りの血が濃い者達。
当然上に進むにつれ勝てなくなり、どんどん時間を消費して行き自滅していく。



こんな状況で理香が篠原に出会い最悪の状況から見事に脱出出来たのは奇跡で運が良かったとしか思えなかったです。
実力よりも運の良さで勝ってしまった感が拭えず、前回の話と比べてちょっと微妙かなと正直思いました。
欲を言えばもう一捻り欲しかったです。
特にレイが最後の残り時間内で、自分に負けて心が折れてしまったのは非常に残念だった。
水島さんと冰山が浮かばれないよ。


個人的な見解ですけど、生贄志願者は例外無く死んでいると思います。
生贄志願者は生存するというのはレイの予想です。
あの場では死者という生贄が無い限り先に進むことが出来ないのですから。
エピローグが篠原と理香だったことからレイと優美は生贄として犠牲になったと。
もっとも最後にレイの描写が無いためもしかしたら生きている可能性があるもしれません。
生贄の穴はシュレーディンガーの箱と変わってしまった。


最後に篠原と理香の二人を導いたのは愛花先生ですよね?
全てを知って二人はどう行動するのだろうか。
大抵こういうゲームの勝利者は次回のゲームにも参加させられてしまいますよね…。


次回は殺戮ゲームの館を超える作品を期待します。