0能者ミナト(3) / 葉山透
「正しさを心がけることの何がいけないのですか?」
「正しさを正義と思っている奴は自分の正義を疑わない。いまのおまえのようにな。」
12月のメディアワークス文庫の新刊から『0能力者ミナト』の3巻です。
ミナトの毒舌のキレキレっぷりはもう流石。
言動と態度はいい加減なのに、なぜかにくめない。
なんだかんだ言ってお人好しだからですかね。
今回は、収録されていた二編のうち後半の『夢魔』の話が特に面白かった。
夢魔に見せられる淫らな夢に戸惑う、沙耶の純情っぷりが良かったです。
彼女にとっては随分とまた辛い体験でしたが、おかげで自分の内面と改めて向き合うことができ、少しは成長できたのではないかと思います。
「真実を知りたければ、自分の胸に手をあててよく考えるんだ。願望も反映されている。……先生はそう言ったんだ」
いろいろ酷いけど、核心ついてるから困る。
最後の閑話は毎回いい余韻を残してくれます。
今回も面白かった。
ミナトとの長年付き合ってるのに騙される二人がダメダメなのか、
それとも騙しきってしまうミナトが凄いのかわからない。
次回も楽しみです。