ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか / 大森藤ノ

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか (GA文庫)

「僕がキミを勝たせてやる、勝たせてみせる」
「……」
「今、君は自分のことを信じてやれないかもしれない。なら代わりに、君を信じているボクを、信用してやってくれないかい?」

主人公は冒険者になったばかりの少年ベル。
出会いを求めるために冒険者になった彼は、ダンジョンで一人の女性と出会いを果たす。
だが、その出会いは最悪だった。

冒険者アドバイザーのエイナさんから、女性は強くて頼りがいのある男の人に魅力を感じると聞いた彼は、
自身を鍛えるために、奮闘する。
そんな彼に発現したスキルは「成長速度の加速」という珍しいものだった…。

第4回GA文庫大賞、大賞『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』です。

ダンジョンを舞台に一人の少年が成長していく物語。

大賞とだけあってなかなか読み応えのある話でとても面白かった。
なにより、世界観がすごく好きなのと、主人公の純朴さというか一途さがとてもいい。
しっかりと努力して成長していく物語なのも自分の中でツボだった。

彼の主神である神様ヘスティアとの関係もなかなか面白い。
ベル君の憧れの人に嫉妬するところとか可愛い。
普段助けてもらっているベル君のために、友人に頼み込んで専用武器まで作ってもらったりと、健気すぎる。
こんないい子がいるのに、片思い相手は違うっていうのがまた泣ける。

そんなベル君もまたフレイヤという、とんでもない女神に目をつけられたものだ…。
今後もちょっかいかけてきそうで不安。
だけどいろんな試練を経てベル君がどこまで強くなるかが、とても楽しみ。